赤い電車は臼い線

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2016年 10月 15日

勝田区の485系、うたかたの「密自連」装備車とは

過日の上沼垂色に関する糞記事から米欄を通じて思わぬ展開?を見せた、1992(平4)年7月にウチが撮影した勝田区485系300番台が密自連装備車であったという件。これについて先ず思い浮かんだのは「14両運転が関係しているのか?」という事。しかしそれは手許の資料をひっくり返した結果無関係であったのですが、ここではもののついでというか、引用記事の流れ的に14両運転についても触れたいと思います。

その14両運転とは7両編成の485系を2本併結とした特急「ひたち」の事で、これはweb上でも1993(平5)年12月改正からとの記述が見られます。定期運用としてはそうなりますが、実はそれ以前からテストケース的なイレギュラーで14両運転は行われていたのです。
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1冊目の参考文献は「鉄道ファン」誌1993年4月号(通巻384)で、読者投稿のPOST欄からです。
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(以下引用)

去る(※1993年)1月3、4日の2日間、勝田区の485系が、7連+7連の堂々たる14両編成で運転された。“ひたち”122号がそれで、通常は勝田ー上野間運転、7連使用の1072Mだが、この両日は、122号の運転区間延長という形ながら、平ー勝田間臨時9072Mとして“あいづ”用連を運転、勝田からは通常の7連を併結し、勝田ー上野間1072M、14両編成となったもの。これは、利用者から混雑による苦情が出ているため、試験的に行なわれたもようで、結果によっては、現在651系使用の一部列車が、485系14両編成となりそうである。

(引用ここまで)

485系「ひたち」14両運転の嚆矢は、日付からして恐らく年始のUターン帰省客向けと思われる夕刻の上り「ひたち」でした。この1072Mと上野着後折り返しの1071Mは14両運転定期化後はその該当となり、金曜日と日曜日(除く祝日)限定ながら14両で運転されていました。
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2冊目の参考文献は「鉄道ファン」誌1993年12月号(通巻392)で、読者投稿のPOST欄からです。
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(以下引用)

常磐線の“ひたち”号は、今年の正月以来、上り列車のピーク時に14両運転を行っているが、今回、8月15日の“ひたち”114号が新塗色K6編成+旧塗色K3の14両編成で運転された。また、おそらくこの併結運転に備えてのことと思うが、ボンネット形クハ481の-31、-34、-38の3両の連結器が、向日町所のクハ481のように密連に改造されている(余談だが、-34は、常総学院応援列車として大阪へ顔を出している)。
また、大洗鹿島線乗入れ計画(編集部注:残念ながら実現せず)により、自連に改造されていたクハ481-315、-1101も密連に戻されている。

(引用ここまで)

この2冊目の記事には多くの重要な情報が見出せます。まず14両運転が「今年の正月」とあるように、1冊目の記事にある1993年1月を嚆矢として、「以来、上り列車のピーク時に」という事から断続的に14両運転が行われていた事を匂わせます。それにしても上り列車のみというのが意外というか、「ひたち」は上り列車の混雑傾向が強いキャラなのでしょうか?

そしてもう一つ、「大洗鹿島線乗入れ計画」という突拍子も無いキーワードが出てきましたが、その乗入れ計画で自連に改造されたクハ481-315、-1101の2両が密連に戻されたという記述からも、「ひたち」の14両運転は密連を介して行われた事が明白で、表題の密自連は14両運転と何の関係も無かった事が裏付けられます。それでは、その気になる「大洗鹿島線乗入れ計画」を振り返ってみましょう。
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3冊目の参考文献は「鉄道ファン」誌1991年8月号(通巻364)で、読者投稿のPOST欄からです。
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(以下引用)

去る(※1991年)5月8日、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線(水戸ー北鹿島間)に勝田区の485系7連が、宇都宮運転所のDE10 1604に引かれて入線、水戸ー大洗間を1往復した。これは、7月21日から上野ー大洗間で運転されるJR直通臨時特急“大洗シーサイド号”(仮称)の乗務員訓練であった。同鉄道線に電車が入線したのは、開業以来初めてのことであった。なお、営業運転では、485系のサービス電源供給のため、電源車が組み込まれる予定である。
●編集部から:市販時刻表6月号にも本文掲載ならびに訂正が出ていますように、確かに特急“ビーチイン大洗ひたち”として、485系の鹿島臨海鉄道大洗までの直通運転が予定されていました。しかしながらJR東日本としては、昨今の出来事をふまえて自粛、直通乗り入れは中止とし、上野ー水戸間での運転としています。ファンとしてはとても残念なことですね。“(水前寺)有明”用のようなヨ改造(?)の電源車も用意されていたことと思われるのですが・・・。

(引用ここまで)

時間的な時系列が前後しますが、これが2冊目で触れた485系の大洗鹿島線乗り入れ計画です。これについては「485系 大洗鹿島 乗り入れ」というキーワードでググれば数件ヒットするので、実は言うほど知られざる事象ではないです。そして記事中に「昨今の出来事をふまえて」とありますが、これは言わずもがな信楽高原鐵道における列車正面衝突事故です。本当に恐ろしい事故です。ウチは当時厨房でした。485系の大洗鹿島線への訓練による初入線のまさに直後に、事故が発生してしまったのです。

3冊目の記事では485系の車番等の記述がありませんが、ここで2冊目に立ち返りますと「クハ481-315、-1101が大洗鹿島線乗入れ計画に際し自連へと改造された」旨の記述が確認できます。但しその記事中では「自連」とありますが、これは結果的に「密自連」が正です(後述します)。自連も密自連も形状としては似ていますし、お互いアダプターを介さずに連結できる互換性はありますが、連結器の種類としては別物ですから、ウチ自身の平時の記述も含めてそういった部分は十分気を付けたいと思います。一度独り歩きし伝播してしまった誤情報を正すのは容易なことではありません。
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4冊目の参考文献です。「鉄道ダイヤ情報」誌1997年9月号(通巻161)です。
さて、その自連を装備したクハの車番までは判明しましたが、ウチが撮影した記録がその車番であるかどうかの裏付けがまだとれていません。そこで編成番号を確認したいと思います。この4冊目の特集「485・489系ワンダーランド」は、2刊に亘って当時時点における485・489系配置区所の全ての運用や概況、そして編成車番を紹介するというもので、90年代の485・489系を模型で再現するにあたっては一つの目安となる、激烈に有用なものなのです。ウチは当然この「東日本編」と併せて「西日本編」も保有しております(これでも一応「資料厨」ですのでw)。

この特集は目前となった1997年10月改正、そう・・・信越本線横川~軽井沢間廃止を含む大改正でしたが、本改正で「ひたち」の485系は半数がE653系に置換され、ボンネット車は事実上引退(のちにK7編成が国鉄色となりイベントに活躍しますが)するという、まさに勝田区の485系が最後の光彩を放っていた時期を収めているのです。ではその勝田区の編成表を見てみましょう。
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赤枠の車番は、自連に改造されたというクハ481-315、-1101です。当然のように同じ編成に組み込まれています。編成番号はK1ですね。この資料は1997年当時ですが、ウチが1992年7月に撮影した編成は一体?
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これではもちろん判然としませんので、拡大してみましょう。
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!!!!!辛うじて「K1」と見えるかっ!?
というかもう間違いないでしょう。そもそもが1点モノの勝田区485系自連装備車において、車番が幾つもあるわけがないのです。そしてウチが1992年7月29日に「ひたち101号」で撮影したこの画像の通り、連結器は「自連」ではなく「密自連」です。密自連は自連とアダプターを介さず連結できますから、DE10との連結も問題ありません。以下、結論を纏めますと・・・

・ウチが撮影した例の新塗色「ひたち」は、K1編成(いわき方クハ481-315、上野方クハ481-1101)
・同編成は1991年夏の大洗鹿島線乗り入れ計画に際し密自連へと換装されるが、計画は中止
・密自連はそのままに新塗色化され(1992年時点)、1993年?に密連へと復原された

となります。
ここまでの無駄に長ったらしい記事を全部スッ飛ばして、上の3行だけ読めばスッキリですw 

485系の大洗鹿島線乗り入れ計画自体はさすがにウチも知っていました。しかし、まさかその当事者であるウチが撮影した画像が、その該当編成であった事は今日2016年10月まで未知だったのです。実に約四半世紀の時を超えて知らされた事実、ウチが情弱なだけなのかもしれませんが、こういった事があるから鉄道実車趣味は面白い!「一枚のキップから」ではないですが「一枚の画像から」の如く、米欄での指摘が無ければここまでの展開はありませんでした。単なる揚げ足取りではなく素直に疑問と感じた事象の突っ込み、大歓迎です。ありがとうございました。
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by odoriba96 | 2016-10-15 10:06 | 記憶のレール(国鉄・JR) | Comments(0)
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